皆さんはFIREを目指しているでしょうか?
FIREとは経済的自立のことで、だれもが達成できるのであれば達成したい、金銭的に不自由のない状態です。
そんなFIREですが、当然簡単なことではありません。
多額の資産が必要で、その資産を効率よく活用し守り抜く知識や技術も欠かせません。
難易度の高いFIREですが、その中でも比較的達成しやすいFIREに
コーストFIREというものがあります。
この記事では、コーストFIREについて深堀していきたいと思います。
- コーストFIREとは
- 年齢別、必要な資産額
- 利回りの変動を加味したシミュレーションから見る現実
結論!
20代~40代で2000万~3000万円の老後資金を作る場合は1000万円程度貯めれば、コーストFIREと呼ばれる状態になる!
コーストFIREってなに?
コーストFIREとは、これ以上の貯蓄や積み立てをしなくても老後資金の不安がなくなった状態を指す言葉です。
老後資金といえば、2019年に話題になった老後2000万円問題が記憶に新しいでしょう。

ってことは2000万を貯めたらコーストFIREってことか?確かにサイドFIREの目安3000万とかと比べれば楽だけど…ハードル高いぜ…

そこがコーストFIREのミソで、今現在の価格が老後資金に達成している必要はありません!
コーストFIREが比較的達成しやすいと言われている理由は、
老後までの期間に複利運用して、引退時に求めている老後資金まで成長するに足る種銭を貯めればいい。
というところにあります。
すなわち、実際に貯める金額はかなり少なくすみ、現役時代に無理のある資産形成をする必要がないのです。

なるほどな!種銭も少なくて済んで、現役時代に資産形成に全力注がなくてもできるFIREって裏がありそうだが…

おっしゃる通りデメリットもあります。続けて解説していきましょう。
コーストFIREのデメリット
コーストFIREのデメリットはただ一つ。
ほかのFIREと明らかに異質な部分があります。
それは、労働は変わらずに続けなければならない。ということです。
あくまでも貯めた種銭と、その投資効果で得られるリターンを使わずに引退まで運用することが前提になるコーストFIRE。
資産収入も、貯蓄した種銭も現役時代に使うことはできません。
そのため日々の生活費を含め、子育て費用や家のローン、その他現役時代の支出は他の方法で稼ぐ必要がありあります。
コーストFIRE用に準備した資金は定年まで全く手を付けずに、運用しつづけて複利効果を最大限活用する必要があるのです。

そんなのFIREって言わなくないか?

人によってはそう思うかもしれませんが、メリットを見ていくと「確かに経済的自立と言えなくもないか?」と思えるはずです!
コーストFIREのメリット
コーストFIREの最大のメリットは、実現できる可能性が高く現役時代とのバランス感が良いことです。
ほかのFIREのカタチだと数千万を貯める必要があり、現役時代には、高所得を得れるだけの能力や、徹底した支出の最適化、平均から乖離した投資成績など、何かしら秀でたものが必要です。
一方後述しますが、コーストFIREでは1000万もあれば十分なことが多いです。
平均程度の給与で、それなりに節約を意識して、平均くらいの投資成績を得ることができれば達成できる再現性があり、FIREを目指してストイックな取り組み方をする必要がありません。
そんな達成が比較的容易なコーストFIREですが、FIREのメリットはしっかりと教授することができます。
- 将来への不安がなくなる
- 現役時代に使うことができる金額が増える
- 働き方や職業選択の自由が広がる
- 厚生年金の減少を気にする必要がない
将来への不安がなくなる
人間だれしも、お金の心配は尽きない物です。
それはなぜか?
今後のライフステージの変化や、老後に働くことが難しくなり収入が途絶えるなど、漠然と「今後のお金が足りないのではないか?」と考えてしまうためです。
コーストFIREを目指す場合、老後にいくら必要かを想定し、その金額を達成するための種銭はいくらか?を考えます。
この時点で「漠然と」という部分が解消されます。
そして、コーストFIREは老後まで働くことが前提のため、メンテナンス性が非常に高いです。
例えば、想定より運用が上手くいっていなく不安…という状況に陥れば、追加で投資したり、引退までの期間を延ばすことで調整が可能です。

お金のことを具体的に知ることで、不安が軽減できるんだな!
現役時代に使うことができるお金が増える
種銭を貯め切った後は、基本的には追加投資は不要です。
そのため、稼いだ分は現役時代にすべて使ってしまうことができます。
なぜなら、老後資金は種銭が運用を経て賄ってくれるからです。
ほかのFIREでは、多かれ少なかれ現役時代を犠牲にする必要がありますが、コーストFIREではその必要がないのがメリットです。

子持ちなど、現役時代にお金を使わないといけない世帯でも目指しやすいということですね!
働き方や職業選択の自由が広がる
将来のための資金を考えなくてよくなるため、会社への依存度が大きく下がります。
一つの会社に長く勤め、出世して給料や退職金を上げていかなくとも、引退後の生活に何ら問題はないからです。
現役時代に得た給料は使い切ってしまって大丈夫なうえに、将来のための貯蓄を考える必要がありません。
必要以上に稼ぐ必要がなくなるので、
稼げはしないけどやってみたい仕事や、リモートワークで残業なしの働き方、責任の軽い働き方などが選びやすくなります。

これは魅力的で、給料が下がるから転職できない…なんて状況が生まれにくくなります!
厚生年金を気にする必要がない
他のFIREと違い働き続けるコーストFIREでは、会社員でいる限り厚生年金の減少を気にする必要がありません。
会社員を継続することで、標準報酬に応じて将来年金が積み上がるため、コーストFIREでも老後キャッシュフローの下支えになりえます。
そのため、老後2000年問題の想定している社会保障給付に近い状況で老後を過ごせる可能性が高く、FIREしたにもかかわらず会社員のいいとこどりができます。
資産の伸びが悪い時でも、相場の状況にかかわらず入ってくる給料や年金はメンタルを安定させる一つのファクターになり、強い味方になること間違いなしです。

働き続けるんだから当然と言えば当然だけどな!

老後の収入源の分散という意味では、年金も悪い制度ではないと思います。もちろん年金一本だけでは心もとないのは確かなので、資産運用は必須だと思います。
必要な資産はどのくらい?
必要な資産は、人それぞれ、老後に必要!と思う資金によって変わります。
老後の生活プランと年金などの収入を鑑みて、足りない分を老後資金として資産形成する必要があります。
今回は、2000万円必要という想定で計算してみます。
よく言われる、平均利回り○%なら○年後に資産がこうなる。という単純計算で出していきます。
必要元本=目標資産額/(1+想定年利)^運用年数
コチラの記事で計算した通り、
定年まで働き続けて厚生年金をしっかりもらえる状態であれば、インフレを考慮しても2000万円もあれば足りそうなためです。
老後資金が2000万円欲しい場合

まずは老後資金に2000万円が欲しい場合です。
利回り4%~6%と、S&P500の直近30年の平均利回りの10.5%のパターンを計算しました。
この表を見ると40歳時点で1000万円もあれば、コーストFIRE達成ということになりそうです。

就職してから年60万円くらい貯めればいいわけだから現実的で再現性もありそうだな!
そのほか、若ければ若いほど、必要資金が少なくなりますが、500万円以下どころか2,300万円や数十万なんてものもありますが本当なのでしょうか?
これは、平均利回りの罠です。
平均利回りとは複数年の平均を指すもので、毎年この利回り通りに増えていくわけではありません。
実際の相場では下がったり上がったりを繰り返した後に、振り返ってみたら平均でこのくらい増えていたね。という数字です。
のちほど、詳しくシミュレーションしていきます。
老後資金が3000万円欲しい場合

続けて3000万円を目指す場合の必要額です。
こちらも2000万円同様、40歳で1000万円くらいあれば、ほとんどの想定で3000万円に到達します。

コーストFIREの一つの目安として、40歳1000万円と言えそうですね。
このような単純計算だと3000万目標でも、若いと数百万円から達成ということになってしまいます。
先ほど説明したように、平均通り上がり続ける相場はありません。下がって上がってを繰り返します。

この計算を鵜吞みにしたらダメってことだな!
【注意】平均利回りの罠!シミュレーションの結果は?
では、実際に先ほどの計算で算出した必要資金を基に、シミュレーションをしてみます。
まずは、過去30年間のS&P500の平均値と標準偏差(リスク)から、利回りの乱数を生成して計算してみました。


全然2000万円になんて届いてないじゃんか!
このように、ほとんどのパターンで目標額まで届いておらず、コーストFIREとは言えない状況であることが分かります。
続けて再度、同じ条件で乱数を作成して、30代バージョンのシミュレーションをしてみました。


このパターンでも殆どが2000万円を達成できていません。
これが平均利回りの罠です。実際の相場では上げ下げが繰り返されており、大きく上がる場面で多くの種銭がないと期待したリターンは得られず、想定したリターンより少なく悪影響を及ぼします。
例えば、
投資資金 100万円 同じ+15%でも…
パターン①
1年目リターン +10%→110万円
2年目リターン +5%→115.5万円
パターン②
1年目リターン -15%→85万円
2年目リターン +30%→110.5万円
このように、上げ下げのタイミング次第では、平均利回りが同じであっても結果が異なってしまいます。
巷で見る積み立てシミュレーションの大多数がこういった形で、平均利回りが毎年積み重なっていくことが前提の物になっているため注意が必要です。

では、コーストFIREには実際いくらくらい必要なのでしょうか?
個人的には、30代に1000万円を貯めれば、それなりに確度の高いコーストFIREになるのでは?と考えています。
平均利回り10.5%という高利回りなら当然クリア。

平均利回り4%まで下げても

少し足りないこともありますが、2000万円には近い数字になることが多いです。

30歳1000万でも下振れることがあるのか…平均利回りで物事を考えるって怖いんだな…

予測できない投資の難しさです。コーストFIREを達成したと思っても、定期的な見直しと、場合によっては追加投資も考えていきたいですね。
まとめ
コーストFIREの解説と、年齢別必要資金についてでした。
平均利回りという机上の空論を信じてしまうと危険なことがお分かりいただけたかと思います。
比較的達成しやすいコーストFIREですが、それでも若年層で1000万程度は貯めないといけません。
現役時代での1000万は、途方もない額に思えますが、努力次第で何とか達成できるレベルです。
将来への不安軽減や、人生の自由度を上げるためにも、まずはコーストFIREを目指すことがおススメです。

コーストFIREの状態のまま追加投資しつづければ、いつかはサイドFIREやリーンFIREも見えてきます!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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